展示期間:2024年11月16日(土曜日)から2025年1月16日(木曜日)
時代のキーワード「多様性」。SDGsの理念からも読み取れますように、今や世界は「多様性」の尊重なしには存続すらおぼつかないところまできてしまっているようです。
かくて私たちひとりひとりの「草の根」意識改革が求められているわけですが、宗教や倫理などは気軽に扱うにはかなり重い分野。それに比べれば「美」ははるかに取り組みやすいテーマのようにみえます。「美しさ」には、人を何かに縛り付けるのではなく、むしろ開放してくれるような不思議な力が備わっているからかもしれません。
どの文化で何が「美しい」とされているのかを学ぶことは、それぞれの文化のもつ価値観の中心にアクセスすることであり、それはそのまま人間精神の豊かさと可能性を再認識する道でもありましょう。
今回「多様性」を考えるきっかけとなればと考えまして、「美」に関する本を広範囲に集めてみました。はたして「さまざま」の中に何か「一なる共通」なものを見出すことができるのでしょうか。それとも...? さあ「多様性」を「美学」してみましょう。
■ 主な展示資料 ■
No. | 書名 | 著者名 | 出版者 | 出版年 | 分類 | コメント |
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1 | 饗宴 | プラトン/著,中沢務/訳 | 光文社 | 2013 | 1313 | 「美」について考えるならば、まずは目を通しておきたい古典中の古典。極上の小説を読むようなワクワク感をもって、西洋の人々の美意識の根幹に接することができます。その評価はさておき、彼らの「そこ」を押さえずしてグローバルな視点から「美」を論ずることはできないでしょう。ともあれ、まずは一度太古の昔の「美」の「饗宴」の席に連なってみて下さい。 |
2 | 「メイド・イン・イタリー」はなぜ強いのか? | 安西洋之/著 | 晶文社 | 2020 | 3352 | 陰りのみえてきた「メイド・イン・ジャパン」の再活性化を目指し、名門ブランド「メイド・イン・イタリー」の特質と強みを多角的に徹底分析。その過程であぶりだされてくる「美」と「実業」との深い関係性。いま日本の「ものづくり」が、イタリアデザイン産業から学ぶためのヒントが満載の本。 |
3 | 現代アートの本当の学び方 | フィルムアート社/編 | フィルムアート社 | 2014 | 707 | 何やらわけのわからない意味不明な営みにみえてしまいがちな「現代アート」。そんな現代アートの最前線で活動するクリエイターたちの本音あふれる1冊です。「答えがないアート」の世界で試行錯誤し続けてきた彼ら。その苦闘の歩みは、「多様性」社会到来にとまどう私たちにとっても、一つの道しるべとなってくれそうです。 |