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調査内容
戦後、名古屋の公道でオートバイのレースが行われたことがあったと聞きました。コースなど、レースの概要を知りたいです。
調査手順
名古屋で公道を使ったレースと言えば、マラソンがすぐに思い浮かぶけど、バイクのレースなんて可能なのだろうか......、と思いつつ、郷土資料コーナーでオートバイに関する資料を探してみる。『名古屋オートバイ王国』を確認すると、昭和28年(1953)に1度だけ、名古屋市を含む愛知・岐阜・三重県の公道を使用する耐久レース「名古屋T・Tレース(正式名称:全日本選抜優良軽オートバイ旅行賞大パレード)」が開催されていたことが分かった。
続けて当時の『名古屋タイムズ』(夕刊紙)を確認すると、開催に前後して選手やコース、関連イベントの紹介、レース結果など、たくさんの記事が掲載されていた。
また、郷土資料以外の資料に目を向けると、『日本交通史事典』『日本モーターサイクル史』『日本のオートバイの歴史。』にも「名古屋T・Tレース」に関連する記述が確認できた。
調査結果
「名古屋T・Tレース」は、国産オートバイの性能向上を目的に、公道を使った国産車によるバイクメーカー対抗レースとして昭和28年3月21日に開催された。
コースは南区の呼続大橋をスタートした後、岡崎―拳母(現豊田市)―多治見―美濃太田―関―大垣―桑名を経て中村区の中村大鳥居前をゴールとする約250㎞。1位のタイムは4時間17分35秒であった。参加した19社57台のうち、42台が完走、15台は車体の故障などにより途中棄権となった。公道がコースとは言っても、路面の状況も悪く、当時のバイクの生産技術からすると相当過酷なレースであったようだ。
今回の調査で使った資料
- 『名古屋オートバイ王国 メイド・イン・ナゴヤが駆けぬけた時代』富成一也/監修・執筆 郷土出版社 1999年
- 『名古屋タイムズ 昭和28年1月~4月』(CD-ROM) 名古屋タイムズ社
- 『日本モーターサイクル史 1945→2007』八重洲出版 2007年
- 『日本交通史事典 トピックス1868-2009』日外アソシエーツ 2010年
- 『日本のオートバイの歴史。 二輪車メーカーの興亡の記録。 新訂版』富塚清/著 三樹書房 2001年