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調査内容
鶴舞中央図書館の正式な読み方は「ツルマチュウオウトショカン」。住所は昭和区鶴舞(ツルマイ)。鶴舞(ツルマイ)と書いて「ツルマ」と読むのはなぜ?
調査手順
まず地名辞典を調べよう。『角川日本地名大辞典23 愛知県』と『なごやの町名』で「鶴舞」を調べる。明治42年(1909年)に鶴舞公園ができた時に、「ツルマ」という地名に「鶴舞」という字を当てたとされている。『名古屋市史 地理編』と『金鱗九十九之塵』に記載されているらしいので、それぞれ確認する。『名古屋市史 地理編』の鶴舞(つるま)町の項には、「鶴舞の名、初めはツルマと假名にて書せしを、後に漢字を當てたるものにして、眞の意義は詳ならず」とある。『金鱗九十九之塵』巻六十三には、「今に田ン所のあざ名につるまと唱ふ所あり」とある。前津小林村(現在の上前津)の辺りに鶴が多くいたという伝承もあるようだ。また、『地名を考える』p.93と『日本の地名』p.123--124には、水の流れる場所を意味する「水流間(ツルマ)」という言葉に、鶴舞という漢字を当てたという説が紹介してある。
実際にどのように読まれていたのか、もう少し調べてみよう。江戸時代の『尾張名陽図会』巻六に「靏舞池」「靏萬池」が載っていて、それぞれ「つるまひ」「つるま」と読み方が書いてある。『明治十五年愛知県郡町村字名調』では、字名の「東鶴舞」「西鶴舞」が「ヒガシツルマイ」「ニシツルマイ」となっている。鶴舞公園の名称を決定した時の名古屋市告示を調べると、「鶴舞公園」に「ツルマ」とカタカナで読み方が書いてあった。
『史話名古屋城と城下町[改訂版]』では、「鶴舞」の読み方が取り上げられている。また、『名古屋地名ものがたり』では、『名古屋市史』や『日本の地名』を元にした従来の説について詳しく検証されている。
調査結果
鶴舞中央図書館、鶴舞公園、鶴舞小学校は、「ツルマ」という読み方を採用している。「鶴舞」には、「ツルマ」・「ツルマイ」二種類の読み方があり、図書館が「ツルマ」なのは、鶴舞公園に合わせたのではないかと思われるが、正確な由来は伝わっていない。
調べれば調べるほど奥が深い。調査団の課題として、これからも調査を続けよう。
今回の調査で使った資料
- 『角川日本地名大辞典23 愛知県』角川書店 1989年
- 『なごやの町名』名古屋市計画局/編 名古屋市計画局 1992年
- 『名古屋市史 地理編』名古屋市/編 愛知県郷土資料刊行会 1980年
- 『名古屋叢書 第7巻』名古屋市教育委員会/編 愛知県郷土資料刊行会 1982年
- 『日本の地名』鏡味完ニ/著 角川書店 1964年
- 『地名を考える』山口恵一郎/著 日本放送出版協会 1977年
- 『尾張名陽図会』高力種信/著 愛知県郷土資料刊行会 1971年
- 『明治十五年愛知県郡町村字名調』愛知県教育会/著 愛知県教育会 1932年
- 『史話名古屋城と城下町[改訂版]』水谷盛光/著 名古屋城振興協会 1997年
- 『名古屋地名ものがたり』杉野尚夫/著 風媒社 2017年
- 名古屋市告示第四二号 明治42年(1909)11月19日
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- 調査団報告書No.118 「鶴舞中央図書館の正式な読み方は「ツルマチュウオウトショカン」。住所は昭和区鶴舞(ツルマイ)。鶴舞(ツルマイ)と書いて「ツルマ」と読むのはなぜ?」 <PDF形式,196KB>(2017年3月改訂)
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