- 最近の調査団報告書は名古屋なんでも調査団へ
- これまでの調査団報告書は調査団報告書一覧へ
- PDF版の一覧は調査団報告書一覧(PDF版)へどうぞ
調査内容
以前堀川にシャチがやって来たことがありますが、他にも名古屋にシャチがやって来ることはあったのでしょうか?
調査手順
水族館の人気者シャチ、2000年2月には野生のシャチが堀川に現れ話題となりました。当時の新聞には江戸時代にも名古屋に来たことがあると書いてあります。
そこで、江戸時代に書かれた『小治田之真清水』という本を調べてみると「文化十二年十二月熱田の海にてとりたる鯨なり其の名を詳にせず(中略)背の方はすべて黒色、下腹尾裏鰓の辺に白色の所あり」(文化12年[1815年]12月に熱田の海で捕獲したクジラ、詳しい名前は分からない。背中は全て黒で腹側と尾の裏、エラの辺りは白色だった)として、シャチらしきクジラの絵が描いてあります。
さて、このクジラはシャチなのでしょうか?様々な文献を調べてみましたが、残念ながら「シャチだ!」と断定している資料は見つかりませんでした。そこで、海にいる生き物の見分け方を紹介している『海の哺乳類FAO種同定ガイド』を読んでみると、絵図に描かれたクジラが持つ白黒の模様は「シャチ以外に間違えようがない特徴」と記され、また尾ビレの形や裏が白いこともシャチと一致していました。
断定は出来ませんが、この謎のクジラがシャチである可能性は高そうです。
調査結果
江戸時代にもシャチが名古屋に来ていた可能性は高いです!文化12年(1815)12月に熱田の海で捕獲された謎のクジラは全長一丈八尺(約5.4m~約6.8m)、胴回り一丈(約3m~約3.8m)あり、翌文化13年(1816)の正月15日まで熱田区にある八剣宮の前で見世物となりました。江戸時代には他にもゴンドウクジラやアザラシ、アシカなどが名古屋へやって来た記録が残っています。
今回の調査で使った資料
- 『『名古屋港開港100年史』名古屋港開港百年史編さん委員会/編 2008
- 『海たび 尾張・知多の海とひとびと』名古屋市博物館/編 2018
- 『小治田之真清水 巻之2(尾張名所図会 附録)』岡田啓/編 1930
- 『小治田之真清水 巻之4(尾張名所図会 附録)』岡田啓/編 1930
- 『海の哺乳類FAO種同定ガイド』トマス・A・ジェファソン/著 NTT出版 1999
- 中日新聞 2000年2月22日朝刊1面、2月23日朝刊16面