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調査内容
こっちの学校へ転校してきて、びっくりしたのは、掃除の時いきなり「机つってー!」と言われたことと、休み時間を「放課」と呼ぶこと。こんな言い方って、このへんだけ?
調査手順
まずは、国語辞典を引いてみると、二つの説明が見つかった。『日本国語大辞典』には、「つる」の一般的な意味の他に、最後の「方言」の①として「二人またはそれ以上で担ぐ。かく。」(出典は尾張方言、名古屋市史ほか)とある。また、『広辞苑』には「放課」の説明が、「①その日の所定時間の課業が終わること。②(名古屋で)学校の休み時間。」とある。どちらも名古屋近辺で使われる言葉であることはわかったので、次は名古屋弁に関する本を開いてみると、比較的新しい本で記述が見つかった。それによれば、名古屋をはじめ尾張では「机などの両端を二人で持ち上げて移動させること」を「つる」ということになる。最後に、方言辞典を引いてみると、最も詳しい記述が見つかった。その中にこんな話があって、びっくり!
調査結果
『地方別方言語源辞典』によると、「つる」は愛知県西部および岐阜県の小学校でこの言葉を知らないと先生をやっていけないほど、日常的に使われる語。「ほーか」は、休み時間。愛知県の学校でのみ使われる言葉、とあった。さらに、『名古屋教育史 1』を確認すると、「「放課」の誕生」という項目に、日本に一斉教授法を紹介した書籍として知られる『小学教師必携』(明治6(1873)年刊)にも「放課」が「休み時間」として示されており、もともと全国的にもこの意味で用いられていたが、他の地方では現在はその意味ではほとんど用いられていない、とある。
今回の調査で使った資料
- 『広辞苑』新村出/編 第6版机上版 岩波書店 2008
- 『日本国語大辞典』小学館国語辞典編集部/編集 第2版 小学館 2001
- 『笑説大名古屋語辞典』清水義範/[著] 改訂決定版 角川書店 1998 (角川文庫)
- 『声に出して読みてゃあ名古屋弁』二代目勤勉亭親不孝/著 すばる舎 2002
- 『東海の方言散策』山田達也/[ほか]著 中日新聞本社 1992
- 『地方別方言語源辞典』真田真治/編 友定賢治/編 東京堂出版 2007
- 『名古屋教育史1 近代教育の成立と展開』名古屋市教育委員会 2013
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- 調査団報告書No.65 「こっちの学校へ転校してきて、びっくりしたのは、掃除の時いきなり「机つってー!」と言われたことと、休み時間を「放課」と呼ぶこと。こんな言い方って、このへんだけ?」 <PDF形式,179KB>(2018年4月作成)
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