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調査内容
友達が戦争末期に八事の表山辺りで外国語の歌を歌っている女の子の声を聞いたって言うんだ。英語ではなかったらしいんだけど、あの辺りに何かあったのかな。
調査手順
天白区のことなのでまずは『天白村誌』。天白寮という松坂屋の療養所が太平洋戦争中にイタリア人捕虜の収容所となっていた。『松坂屋60年史』や古い住宅地図で天白寮の存在を確認。そういえばイタリア人捕虜の話を新聞で読んだ記憶がある。新聞データベースも検索してみよう。収容所に関する書籍が2冊あることと、日本では未公開だけどドキュメンタリー映画も作られていることが分かった。最後に『外事月報』で、女性の収容者が大人一人、子ども三人いたことを確認。
調査結果
太平洋戦争末期、八事表山の松坂屋療養所「天白寮」がイタリア人の強制収容所となっていました。イタリアが連合国側に無条件降伏した後、ドイツはイタリア北部にサロー共和国を樹立します。日本政府はこの傀儡政府を承認、日本国内にいたイタリア人外交官や民間人にこの政府に対する忠誠宣誓を求めます。この宣誓を拒否したイタリア人が強制収容所へ送られたのです。天白に収容されたのは女性4名(うち3名は3歳から8歳の子ども)を含む民間人でした。お友達はこの三人の子どもの誰かの歌声を聞いたのかもしれませんね。収容所体験を記した『フォスコの愛した日本』や『ダーチャと日本の強制収容所』にはその過酷な生活が描かれています。また、2016年の10月には、収容者の孫が撮影したドキュメンタリー映画がローマで公開されたそうですよ。
今回の調査で使った資料
- 『天白村誌』天白村/編 愛知県郷土資料刊行会 1980
- 『松坂屋60年史』松坂屋60年史編集委員会/編 松坂屋 1971
- 『フォスコの愛した日本』石戸谷滋/著 風媒社 1989
- 『ダーチャと日本の強制収容所』望月紀子/著 未來社 2015
- 『復刻版外事月報 第10巻』不二出版 1994(名古屋市図書館未所蔵)
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- 調査団報告書No.50 「友達が戦争末期に八事の表山辺りで外国語の歌を歌っている女の子の声を聞いたって言うんだ。英語ではなかったらしいんだけど、あの辺りに何かあったのかな。」 <PDF形式,186KB>(2017年1月作成)
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