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調査内容
名古屋にも河童(かっぱ)の伝説があると知って、びっくりしました。おいせ川だとか、ツバキの森といったあたりの伝説だそうですが、これはどこのことですか?
調査手順
笈瀬川(おいせがわ)について『中村区史』をみると「城北庄内村大字名塚の悪水より発し、(中略)中川となり、こゝに江川を合し築地を経て名古屋港内に入る」とあり、「大正十五年度より昭和七年度に至る七箇年継続の西部下水幹線工事の一部として、この川は円型および馬蹄型管の暗渠(あんきょ)となつた」とあります。暗渠とは「おおいをした水路。灌漑・排水などのために地下に設けた溝」(『広辞苑 第六版』)のことですから、現在の通常の地図では笈瀬川は確認できません。『地図でみる露橋の歴史』のp.16には現在の露橋の地図と江戸時代の地形と境界線を重ねた地図が載っていて、笈瀬川の位置が確認できます。
ツバキの森については、幕末につくられた『尾張名所図会 附録』別名『小治田之真清水(おわりだのましみず)』に「椿乃森」の位置は中野高畑村の東、笈瀬川の西岸とあり、『中村区歴史余話』には、椿神明社(則武町二丁目)は椿の森ともいわれ古木が茂っていた、と書かれています。『小治田之真清水』には「椿の森河童乃怪」として河童の絵も載っていますよ。
このほか名古屋の河童伝説で有名な場所としては「むさんど橋」がありますが、これは「今の「松重閘門」の辺り」(『河童伝承大事典』)だそうです。『河童伝承大事典』には全国に伝わる河童伝説が地域ごとに記されており、名古屋市の伝説やその舞台についても触れられています。
調査結果
中村区則武2丁目にある椿神明社の森を椿の森と呼び、その東に笈瀬川が流れていたそうです。
今回の調査で使った資料
- 『地図でみる露橋の歴史』露橋小学校開校100周年記念誌編集委員会/編集、発行 2006
- 『中村区史』中村区制十五周年記念協賛会/編集、発行 1953
- 『尾張名所図会 附録』愛知県郷土資料刊行会/編集、発行 1971
- 『中村区歴史余話』横地清/著 中日出版社 1992
- 『河童伝承大事典』和田寛/編 岩田書院 2005
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- 調査団報告書No.45 「名古屋にも河童(かっぱ)の伝説があると知って、びっくりしました。おいせ川だとか、ツバキの森といったあたりの伝説だそうですが、これはどこのことですか?」 <PDF形式,174KB>(2016年8月作成)
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