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調査内容
城山三郎さんの短編小説「鳩侍始末」を読んだよ。尾張藩第11代藩主徳川斉温が鳩を愛好していたことがベースになっている小説なんだけど、その元となったエピソードについて書いてある資料ってあるのかな?
調査手順
まずは、「鳩侍始末」を確認。参考文献はなし...と。斉温個人の伝記の類も見つからない...。 『名古屋市史 人物編上巻』を見ても、斉温の項目に鳩についての記述はない。でも、『同 政治編1』を見るようにって書いてある。見てみると...あった!物語と同じで、数百余りを飼養していたことや、石川魯庵に諌められてことごとく放ったと書いてある!
魯庵からも調べてみよう。『同 人物編下巻』を見ると...あれ? ここにはお気に入りの数羽を残したって書いてあるぞ?
『政治編1』と『人物編下巻』の典拠資料を確認してみると...。『圓陵随筆』に該当記事を発見! "其最モ愛シ玉フ所数翼ヲ餘スノミ"って書いてあるから、全部を放った訳ではないようだ。
他にもないかな...と調べていると、『尾張著述家綜攬 補訂版』に魯庵の逸事として「逸事舊聞」なる典拠を発見!!収録している『汲古3』を確認したら、その典拠は『圓陵随筆』だった。
調査結果
調査の結果、『圓陵随筆』が見つかったよ! でも、これは逸事の類で史実かどうかはっきりしない。だからこそ、「鳩侍始末」が生まれたのかも!?
今回の調査で使った資料
- 「鳩侍始末」(『逃亡者』所収)城山三郎/著、新潮社、1991年
- 『名古屋市史人物編 上巻』名古屋市/編、国書刊行会、1981年、p.49
- 『名古屋市史 政治編1』名古屋市/編、愛知県郷土資料刊行会、1979年、p.183?190
- 『名古屋市史 人物編 下巻』名古屋市/編、国書刊行会、1981年、p.263?265
- 『圓陵随筆』、宮田敏/著、名古屋市史編纂資料<市2-9>、16オ-16ウ
*名古屋市図書館のホームページ内「なごやコレクション」でご覧いただけます。 - 『尾張著述家綜攬 補訂版』太田正弘/編、太田正弘、2005年、p.21
- 『汲古3』汲古會/編、汲古會、1923年、p.45