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調査内容
昭和初期、大曽根にあったレコード会社について知りたい。
調査手順
まずは社名と所在地を古い電話帳で調べてみる。すると......あった。「アサヒ蓄音器商会」東区東大曽根町。たしかに、大曽根にレコード会社があったようだ。大曽根町の歴史を記した『大曽根町誌』を紐解くと、著名な会社として説明があった。規模の大きな会社だったようなので『中京名鑑』や『商工名鑑』を見ると、ここでも発見することができた。商工名鑑には広告が出ている。レコードの歴史についての本にも名前が出てきた。
調査結果
創立は大正十四年。大和蓄音器商会を買収して設立された。当時はレコードといえば外国製品ばかりで、創業者の神野三郎はそれを憂いて起業したようだ。電機応用マイクロフォンによる録音技術を他社に先駆けて開発したらしい。事業は軌道に乗り、昭和初期には東京や大阪にも支社を持っていた。ちなみに販売していたレコードには鶴のマークがついていて「ツルレコード」と呼ばれていたそうだ。昭和十四年に建物と機械を金壺ゴム株式会社に売却、株式過半数も大阪のレコード問屋等に売却し、同社の歴史は幕を閉じた。
今回の調査で使った資料
- 『大曽根町誌』斎藤俊之助/編 東大曽根町誌刊行会 1941 p195
- 『中京名鑑 昭和7年版』名古屋毎日新聞社 1932 p30
- 『日本レコード文化史』倉田喜弘/著 岩波書店 2006 p146--147
- 『神野三郎伝 前編』神野三郎翁伝記編纂委員会/編 中部瓦斯 1965 p544--546
- 『名古屋職業別電話帳 昭和11年度版』逓友協会/編 逓友協会 1936 p734
- 『名古屋商工案内』名古屋商工会議所/編 名古屋商工会議所 1925 p137に広告