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調査内容
名古屋城に、お殿様専用の極秘の非常脱出口があったそうだけど、本当?
調査手順
名古屋城関係の資料を見てみると、何冊かに「埋御門(うずみごもん)」という脱出口のことが出てくる。緊急の際には埋御門を開き、急な石段を縄で降り、舟で深井大堀(名古屋城二の丸・本丸北側の濠)を渡り、土居下(三の丸の北東)~清水口~大曽根~勝川を経て木曽街道へと落ちのびるてはずになっていたという。なんだ、案外簡単な問題だったなと思ったけど、さらに資料をさぐると、実はこの「埋御門」というハードの面をささえる特別な少数精鋭の部隊がいたらしい。その名を「御土居下(おどいした)同心」という。彼らについてくわしく書かれた『秘境名古屋城御土居下物語』という資料もみつかった。
調査結果
ハードの面では「埋御門」、ソフトの面では「御土居下同心」と、尾張藩は二本立てで非常時に備えていたことがわかった。記録を見るかぎり、このお殿様専用の脱出口が本来の目的のために使われたことはなかった。
さて、ここから先はおまけの話。喉元すぎればなんとやら...で、すでに九代藩主宗睦のころには、この埋御門は、お殿様やお伴のものに、御深井の庭への近道として使われていたようだ。伊藤直之進という有名な兵学者が藩主にあてた上申書『(国秘録)伊藤直之進上書』で、その警備の手薄さを指摘している。一方で御土居下同心たちは、この特殊任務のために幕末まで極秘に訓練を重ねたそうだ。
今回の調査で使った資料
- 『名古屋城物語』朝日新聞社/編 朝日新聞社 1966
- 『名古屋謎とき散歩』恩田耕治/著 廣済堂出版 1998
- 『名古屋城こぼれ話』水谷盛光/著 名古屋城振興協会 1995
- 『秘境名古屋城御土居下物語 特殊任務と下級藩士たち』岡本柳英/著 名古屋城振興協会 1980
- 『(国秘録)伊藤直之進上書』伊藤藤景/著(写本3冊) 名古屋市鶴舞中央図書館特別集書