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調査内容
栄の百貨店「三越」のあたりに明治時代に図書館があったって本当?
調査手順
『新修名古屋市史』5巻に、明治42(1909)年1月に「名古屋通俗図書館」が中区南大津町(現在の栄3丁目あたり)に設立されたことが書いてありました。また「名古屋通俗図書館」について調べると、雑誌『郷土文化』145号に、「明治42(1909)年正月に南大津通1丁目の倉岡克彦氏の家(現在のオリエンタル中村百貨店南)の屋根に「図書新聞雑誌縦覧所」と書かれた看板があげられた」という内容が掲載されていました。
※「オリエンタル中村百貨店」は、現在の「名古屋三越」の前の百貨店名で、昭和29(1954)年に建てられました。
調査結果
名古屋市図書館ができるずっと前、明治42(1909)年1月に「名古屋通俗図書館」が、現在の「名古屋三越」の南(栄3丁目)に設立されました。電鉄会社の支配人倉岡克彦氏が、かねてから名古屋に図書館がないのをなげき、千円の創業費を投じて独力でつくった図書館です。間口3間(約5.4m)奥行10間(約18m)の二階建てに、およそ本400冊、新聞150種、雑誌240種を置いて市民に開放しました。有料でしたが、1か月に約2,500人も利用がありました。大正8(1919)年ごろの記録によると、開館時間は7時から22時、年中無休で、閲覧料は大人3銭・子ども2銭だったそうです。また、市内の理髪店に無料で本を配布し、自由に閲覧してもらう、床屋文庫という活動もしていたそうです。
今回の調査で使った資料
- 『新修名古屋市史 5巻』新修名古屋市史編集委員会/編集 名古屋市 2000
- 「名古屋通俗図書館」林眞 『郷土文化 144号』名古屋郷土文化会 1985
- 「名古屋通俗図書館」研究ノート」加藤参郎 『郷土文化 145号』名古屋郷土文化会 1986
- 『図書館雑誌』26・37・49・137号 日本図書館協会図書館雑誌編集委員会/編 日本図書館協会 1916から1931
- 『なごやの町名』名古屋市計画局/[編] 名古屋市計画局 1992