- 最近の調査団報告書は名古屋なんでも調査団へ
- これまでの調査団報告書は調査団報告書一覧へ
- PDF版の一覧は調査団報告書一覧(PDF版)へどうぞ
調査内容
昔、鶴舞公園に金閣寺があったって聞いたけど、ほんと?
調査手順
昔のことを調べるなら、まずは『新修名古屋市史』から。鶴舞公園の項目を見てみると、明治43年に現在の鶴舞公園の敷地内で博覧会「第十回関西府県連合共進会」が開催されたことが分かった。博覧会といえばいろんなパビリオンが作られるもの。もしかして、金閣寺に似せたパビリオンがあった?
では、共進会について調べてみよう。『第十回関西府県聯合共進会全図』は会場全体を俯瞰した図で、建物の形が立体的に描かれている。それを見ると...お寺のような建物が2つあった。ひとつは「貴賓館」、もうひとつは「キリンビール」と書いてある!?
次にちゃんと金閣寺に似た建物かどうか、写真で確認しよう。「貴賓館」については『明治・名古屋の顔』p.183に載っていた。貴賓館とは「聞天閣(もんてんかく)」という迎賓用の建物で「金閣寺をそのまま、そっくり模した」という説明文が載っている。「キリンビール」の方は『麒麟麦酒株式会社五十年史』p.74に写真を発見。そこには「金閣寺を模したキリンビヤホール」の文字が。なんと、ビヤホールだったのか!この頃からビヤホールってあったんだなあ。
調査結果
明治43(1910)年に開催された博覧会「第十回関西府県連合共進会」時に建てられた建物で、「聞天閣」という貴賓館と、キリンビールのビヤホールの2つがあった。写真で見ると両方とも外観は微妙に違っているけれど、どちらも「金閣寺を模し」て造られたものらしい。今は残っていないのが残念。
今回の調査で使った資料
- 『新修名古屋市史 第6巻』新修名古屋市史編集委員会/編集 名古屋市 2000年
- 『第十回関西府県聯合共進会全図:三府二十八県』名古屋用達 1910年
- 『明治・名古屋の顔』服部鉦太郎/著 六法出版社 1973年
- 『麒麟麦酒株式会社五十年史』麒麟麦酒/編集 麒麟麦酒 1957年