本の展示
中川図書館 ミニ展示「生誕100年 六世中村歌右衛門と女形の世界」≪展示期間:1月5日(木)~1月26日(木)≫
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2017年1月6日
展示期間:2017年1月5日(木曜日)~1月26日(木曜日)
戦後歌舞伎の頂点に長くその名を留め、「女帝」と呼ばれた名女形・六世中村歌右衛門(1917生~2001没)。生誕100年の日・2017年1月20日(金曜日)にあわせ、足跡を振り返る本を展示します。
五世歌右衛門の次男に生まれ、生涯、左足に先天性脱臼のハンデを抱えながら、天性の美貌と努力、そして卓抜した政治力で、若くして歌舞伎界の頂点に上り詰めた六世歌右衛門。出世作の八ッ橋(籠釣瓶)はじめ、白拍子花子(道成寺)、政岡(先代萩)、阿古屋など、多くの当たり役は映像に記録され、未来への遺産となっています。その芸は他の追随を許さず、「空前ではないが絶後の女形」になるかも知れないと称賛されました。また、1996年に舞台を退いた後、2001年3月31日に逝去するまで、闘病しながら玉三郎などへの芸の伝承に努めたことは有名です。歌舞伎一筋、日常生活でも、仕草や言葉遣いまで徹底して「女」を演じ続けた真の「真女形(まおんながた)」の、見事な一生でした。
写真左から 素顔、八ッ橋(籠鶴瓶)、白拍子花子(道成寺)、政岡(先代萩)、小町姫(関の戸)、義経(勧進帳)
写真出典:『百人の歌舞伎俳優』(1955年)『歌舞伎舞踊』(1956年)「演劇界」(1953年4月号・11月号)
■ 主な展示資料 ■
No. | 書名 | 著者名 | 出版者 | 出版年 | 分類 | コメント |
1 | 歌右衛門の六十年 ひとつの昭和歌舞伎史 | 中村歌右衛門,山川静夫/著 | 岩波書店 | 1986 | 77428 | 歌右衛門が語る大正期から昭和60年頃までの歌舞伎界の歩みと、自分史。山川静夫氏によるインタビュー形式。 |
2 | 十一代目団十郎と六代目歌右衛門 悲劇の「神」と孤高の「女帝」 | 中川右介/著 | 幻冬舎 | 2009 | 77428 | 戦後歌舞伎を担った十一世団十郎と六世歌右衛門の伝記。天性の華と家柄の団十郎と対比される、芸力と野望の歌右衛門。吉右衛門劇団では師匠の弟・三世時蔵を追い落として立女形(たておやま)となり、本家筋の夭折した兄・五世福助の子(後の芝翫)を出し抜いて歌右衛門を襲名。 |
3 | 歌右衛門伝説 | 渡辺保/著 | 新潮社 | 1999 | 77428 | 歌右衛門の舞台を見続け、「空前ではないが絶後の女形」になるかも知れないと言った著者の、個人的思い入れが滲み出た歌右衛門論。美貌を謳われた女形に迫る「老い」。老いに合わせて芸を変質させ、より優れた芸に成長させていく歌右衛門への讃歌。 |
4 | 歌右衛門合せ鏡 | 関容子/著 | 文芸春秋 | 2002 | 77428 | 歌右衛門死去の翌年に刊行された評伝。舞台を見続けてきた著者が、稀代の名優「大成駒」の芸と人を哀悼の意を込めて描く。 |
5 | 女形一代 七世瀬川菊之丞伝 | 円地文子/著 | 講談社 | 1986 | 9136 | 歌右衛門をモデルにした小説。実在した瀬川菊之丞とは無関係。幼馴染の踊りの師匠が女形の一生を語るという設定。沢木紀之という三島由紀夫らしき人物への(著者の?)評価も面白い。 |